「運動は健康に良い」とわかっていても、科学的にベストな運動強度や運動時間を知っている人は少ないのではないでしょうか。
実は運動について膨大な量の論文が出ており、エビデンスが蓄積されています。
今回、この膨大な量の論文から、身体活動と健康に関する大規模前向き観察研究(コホート研究)を系統的に調べ、信頼に値する研究から得られたデータを統合し、さらに現在の身体活動や運動習慣の現状も勘案して、運動目標を策定しました。
はい。こちら、全て厚生労働省がやってくれています。
この記事では、健康長寿のため、厚生労働省がまとめてくれた「健康づくりのための身体活動基準2013」の検討会報告書(こちら)を参考に運動の目標を定めたいと思います。
また、参考に、以下のアメリカでのガイドライン(Physical Activity Guidelines for Americans 2nd edition⇒こちら)もレビューしたいと思います。
こちらもアメリカの偉い先生方が数ある論文をレビューして作成された非常に参考になる資料です。
最後に、これらを踏まえて、130歳以上生きるための個人目標を考えていきたいと思います。
運動の効果
ここで、まずは運動の効果について簡単にまとめます。
厚生労働省の「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」より:
- メタボリックシンドロームリスク↓
- 循環器疾患↓
- 糖尿病↓
- がん↓
- 死亡↓
- これらの予防効果↑
- 気分転換、ストレス解消による、メンタルヘルス不調の一次予防
- 腰痛や膝痛の改善
- 風邪に罹患しにくくなる
やらない理由は皆無ですね。
ベストな運動強度・時間
成人(18-64歳)向け
では、どのくらいの強度で、どの位の時間運動すれば良いか、見ていきましょう。
厚生労働省の運動の基準値
身体活動の基準(日常生活で体を動かす量)
歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行う。
ポイント:現在の身体活動量を少しでも増やす。例えば今より毎日10分ずつ長く歩くようにする。
運動の基準(スポーツや体力づくり運動で体を動かす量)
息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う。
ポイント:運動習慣をもつようにする。例えば30分以上の運動を週2日以上行う。
アメリカの運動ガイドライン
アメリカ当局のガイドラインでは、成人(18-64歳)には以下を推奨しています。
- より多く動き、座る時間をより少なくすることが全年齢にとって良い。
- ある程度の健康効果を得るには、最低でも以下の運動をする:
- 「中等度の運動を1週間に2時間半〜5時間(1日22分~43分)」
または - 「強度の有酸素運動を75分〜2時間半(1日11分~21分)」
または - 「上記と同程度の中等度運動と強度の有酸素運動の組み合わせ」
- 「中等度の運動を1週間に2時間半〜5時間(1日22分~43分)」
- さらに健康効果を高めたい場合:
- 中程度の運動を週に5時間以上(1日43分以上)
- 全ての主要筋肉群の筋トレを週2回以上
ちなみに、アメリカのガイドラインに、運動と全死亡リスクとの関係を示した面白いデータが載っていました(下図)。
図. 中程度~強度の運動と全死亡との関係
Relationship of Moderate-to-Vigorous Physical Activity to All-Cause Mortality
この図から、以下の三点が分かります
- 運動をしていない人は、少しの運動を始めることで高い効果が得られる。
- 運動をしている人でもさらに運動を追加することで死亡リスクを減らすことができる。
- 運動をやりすぎることのリスクは確認されていない。めっちゃやってもリスクは上がらない。
日常生活に運動を少しプラスすることで、死亡リスクを下げられることが分かりますので、励みになりますね!!
65歳以上の場合
ちなみに65歳以上の場合は運動というよりも少しでも身体を多く動かすということが厚生労働省の基準になっているようです。
身体活動(生活活動・運動)の基準:
横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行う。
上記を踏まえた私の目標
- 毎日1日1万歩 (なるべく早歩き)
- 筋トレや体操等の少し強度が高い運動を毎日10分
130歳以上生きるためになるべく多くの運動をしていきたいと思います。
さいごに
寿命を延ばしたり、がんや糖尿病などを改善する薬があれば誰でも飲みたいですよね?
それが運動になります。
運動していないということは、この超大事な薬を飲み忘れていることと同じです。
サプリを飲もうとか言っている場合ではないのです。
運動習慣がない人は、真剣に考えてください。
ぜひ運動を始めましょう。
運動の始め方、続け方について、実際に私がやって効果があった方法を別記事にしました。よければ見てください。(と書きましたが、すみません、まだ記事は書いていません。あとで書きますので、許してください)
まとめ
厚生労働省が成人(18-64歳)に推奨している運動時間や強度は:
- 身体活動目標:歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行う。
- 運動目標:息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う。
アメリカのガイドラインからのベストアンサーは:
「毎日の早歩き+満遍なく筋トレ(週2以上)」
これらを踏まえた私(30代)の目標:
- 毎日1日1万歩(なるべく早歩き)
- 筋トレや体操等の少し強度が高い運動を10分程度、毎日行う
130歳まで生きるために今よりも今よりも少し多めにプラスαの運動を出来れば良いですね。
ぜひ、一緒にやっていきませんか?